中古品売買の事業や副業を行う場合、
古物商の許可を得る必要があり、古物商の許可申請をします。
申請するには、
「営業する場所」を決めた上で申請書を作成します。
オフィスを借りて、本格的に事業を行う場合もありますが、
副業や小さく始める開業時の場合、「どこで仕事を行うか?」は意外と重要です。
一人で古物商の申請をすると、
気づかないうちに、営業所として「ふさわしくない場所を選ぶ可能性」もあるかと思います。
本記事では、
古物商の営業場所についての注意点
をお伝えしますので、参考になさってください。
古物商許可について申請の概要は、以下の記事をごらんください。
営業所~どんな意味がある?~
古物営業法でいう「古物商の営業所」は、古物の取引が発生する場所です。
古物商は、現実に存在する「物」を扱います。
中古品を買い受けたり、依頼されて売ったり、交換によって引き受けたりします。
そのため、古物商の営業をするときには、
1,事務作業を行う場所と
2,商品(中古品)を保管する場所
が必要です。
営業所として申請書に書く場所は、
上記1と2のスペースを確保できる所となります。
なので、
取引しない場所や
明らかに取引できないような場所は、
申請できない
と考えられます。
「主たる営業所」「その他の営業所」
古物商を営業する際、本拠地・本店として営業する営業所を
「主たる営業所」として申請します。
複数の営業所を設ける場合、本店となる営業所以外の営業所は「その他の営業所」として申請します。
自宅(住所・居所)で古物商の営業を行うことも可能です。
自宅を営業場所にして、他に営業所を設けない場合もあるかと思います。
副業として、または在宅の事業としてお考えの方が該当するでしょう。
その場合、
申請書には「主たる営業所」として特に記載しなくて良いのですが、
扱いとしては、「住所」が「主たる営業所」となります。
「主たる営業所」「住所・居所を営業所とする場合の住所や居所」「その他の営業所」の3つを表す場合、以下の本記事では単に「営業所」と書かせていただきます。
よく検討したい営業場所 【重要です】
「在宅で中古品を仕入れてメルカリ販売をしたい!」
と思っても、
住宅によっては注意点があります。
自宅で作業を行う、取引を行うのであれば、基本的には
自宅を営業場所として構いませんが、
自宅が持ち家か? 賃貸か?
また、
戸建てか? マンションか?
によって、
注意点が異なります。
また、自宅以外に営業所を設ける場合も、
注意が必要なケースがあります。
以下の事例をご覧ください。
事例1:自宅(自己所有、戸建て)
自宅で取引を行い、物を保管するのであれば「営業所」として申請をして差し支えありません。
事例2:自宅(賃貸、戸建て)
建物の所有者との「契約」において、問題があるかもしれません。
建物の賃貸契約書には「住居としての使用」か「事務所としての使用」か
が書かれていると思います。
「住居」としての賃貸の場合、賃貸契約の内容を確認したいところです。
事業として使うことが禁止の場合もあるかもしれません。
また、「事務所使用」が可能な契約であっても、
「貸主が古物営業を認めるか?」は貸主の判断によると思われます。
建物の貸主(管理会社)に「古物営業をしてよいか」確認することが必要だと思います。
事例3:自宅(自己所有のマンション)
マンションの管理規約を確認する必要があると思われます。
マンションの管理規約で「事業を行うこと」が認められているでしょうか?
分譲マンションであっても、管理規約で事業に使うことを制限しているケースがあります。
管理規約をよく読んで、確認しておきましょう。
事例4:自宅(賃貸のマンション)
「建物の貸主との賃貸借契約」と、「マンションの管理規約」の両方を確認したいです。
賃貸借契約の内容が「住居としての使用」でしたら、
「古物営業をしてよいか?」を貸主に相談をしましょう。
賃貸借契約の内容が「事業としての使用」だったとしても、
「古物営業を新たに始めて良いか?」を貸主に相談しましょう。
それまでの営業内容ならOKであっても、
古物営業を認めるかどうかは貸主が新たに判断することになります。
また、マンションなので、「管理規約」も確認しましょう。
貸主が管理規約を理解した上で「古物営業をOKした」と思いたいですが、
間違いがないようにご自身でも管理規約をよく読み、事業を行うことが可能かを確認しましょう。
事例5:実家を「営業所」とする
実家は現住所ではないけれど、
実家のスペースを借りる場合。
かつ、実家が戸建ての持ち家の場合ですが、
実際に取引を行う場所(作業と保管を行う場所)として実家を使うのであれば、
営業所にすることも可能です。
申請書には、
許可を受けたい人の住所とは別に、営業所を書く欄があります。
住所と別の場所を営業所とすることが可能です。
実家が集合住宅である、または、戸建てであっても賃貸の場合
ご実家が、持ち家の戸建て以外は、上記の事例2~4と同じように、契約内容の確認が必要です。
上記事例2~4をご覧いただき、確認をお願いします。
事例6:レンタルオフィスを「営業所」にする
レンタルオフィスは、
所有者から部屋等を借りた人が、第三者に部屋を貸します。
レンタルオフィスは、部屋のタイプが様々です。
「部屋のタイプが、どのようなタイプか?」によって、
「許可が取れそうか?」が異なると思われます。
半個室であったり、
扱う品物に対してあまりにもスペースが狭かったりする場合は、
確認をした方が良いように思います。
事例7:バーチャルオフィスを「営業所」にする
バーチャルオフィスは、オフィスそのものではなく、住所を借ります。
バーチャルオフィスを古物商の営業所として許可申請するとしたら、
不許可になる可能性があると思われます。
古物商は、現実に「物」を扱います。
「物」を扱うことができない「バーチャルオフィス」について、
神奈川県では「営業所として認めらない」とされています。
他の都道府県でも許可を取るのが厳しいと予想されます。
自宅の住所を公表したくないから、
比較的安い費用で済みそうな「バーチャルオフィス」を・・・
と検討したくなりますが、
古物商においては、避けた方が良いと言えます。
以上が、「営業所にできるか?」の事例でした。
自宅:区切られた場所が必要?
自宅を営業所にする場合、
もちろん、業務専用の部屋を用意できることが望ましいです。
けれども、住宅事情によっては、業務の専用部屋を用意できない場合もあるでしょう。
神奈川県の場合ではありますが、
仕切ることができなくても、
「ここで作業を行う」「ここで物を保管する」と
場所が決まっていれば申請して差し支えないとされています。
急に警察が立ち入り検査をした場合に、
はっきりと「ここで作業をしています」「ここで物を保管しています」と
答えられる形を検討しましょう。
神奈川県以外の都道府県で古物商の許可申請をするのであれば、
事情が異なる可能性があります。
心配な場合は、警察の担当課に確認をした方が良いと思われます。
注意したい個人情報の取り扱い
古物商は、取引の相手方の個人情報を取り扱う場面があります。
自宅を使うけれども作業専用の部屋を確保できない場合、
個人情報を取り扱いに注意したいところです。
鍵付きの書類保管ケースのような物を用意して、
来客や家族等が簡単に個人情報を見ることができない環境を作ると良いと思います。
申請について
古物商の許可について、
申請書と添付書類を一式、手数料を準備して、営業予定場所の管轄の警察に提出します。
神奈川県の場合、新規の申請手数料は1万9千円ですから、
不許可にならないような申請をしたいところです。
行政書士やまおか事務所では、申請書の作成を行うことが可能です。
古物商許可申請を希望されていて、当事務所に申請書作成を依頼いただいたお客様には、
ご自宅の賃貸契約書やマンションの管理規約を読み、内容をお伝えします。
ご自宅を営業所とする申請が難しい場合は、貸事務所の利用をおすすめするなど、対策をご提案します。
初回相談はお電話で20分まで無料です。
二回目以降の相談は有料で、1回 50分 5,500円(税込み)です。
ただし、書類作成のご依頼をいただいた場合は、無料で相談・打ち合わせとなります。
書類作成のみでしたら、全国対応いたします。
お申し込み・お問い合わせは、LINEまたはお問い合わせフォームからお願いいたします。
当事務所を ぜひご利用ください。
日にちによっては営業時間外の対応も可能です。
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なお、賃貸のお部屋を営業所にしたい場合であって、
貸主さんとの交渉の代理をお願いしたい場合は、弁護士さんに依頼をお願いします。
行政書士は、書類作成・行政に対する申請の代行、これらの相談対応をいたします。
行政とのやり取りは申請の範囲内であれば可能です。
しかし、行政書士は、貸主さんと「代理人として交渉」することができません(弁護士法の規定により)。
貸主さんとの交渉は、弁護士さんのみが交渉可能ですので、ご了承ください。
代理人を立てず、ご自身で交渉することは問題ありません。