「自宅で稼ぎたい」と思ったときに、
中古品の売買を思いつく方も多いでしょう。
インターネット上などで販売ができそうです。
しかし、繰り返し中古品の売買をするには、行政の許可が必要です。
「古物商」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
基本的に、
中古品売買をするには「古物商の許可」が必要で、
要件等は「古物営業法」で決められています。
無許可で中古品売買を行うと、
懲役刑や罰金刑に処せられる可能性があります。
(古物営業法31条1号)
まずは、古物商の許可について知っておきましょう。
本記事では、
古物商の許可申請について
概要を
わかりやすく、簡単に
お伝えします。
中古品の「売買」または「交換」をする人
古物営業法上の「古物商」は、
簡単に申しますと、
中古品を有償で仕入れて売る人 など
です。
個人も法人も「人」です。
例えば、
「仕入れた中古品、買った中古品をメルカリで売る!」
しかも
「副業として」「事業として」
「古物営業法の対象品目」を取り扱う
となりますと、
「古物商」の許可が必要になります。
対象品目は後述しますが、
多くの物が対象になっています。
古物営業法の許可は2種類:古物商と古物市場主
古物営業法上の許可を必要とする「古物営業をする人」は2種類です。
1, 古物商
2, 古物市場主
1の「古物商」は、前述の「中古品を売買または交換をする人」です。
2の「古物市場主」は、古物商同士が古物の売買または交換をする場を運営する人です。
以下、本記事では、「古物商」についてお伝えします。
参考:古物競りあっせん業者
古物営業法では、「古物競りあっせん業者」の規定もあります。
「古物競りあっせん業者」は、古物のインターネット・オークションを運営する人ですが、
こちらは許可ではなく、届出を必要とします。(古物営業法10条の2)
「営業」は 、 繰り返し行うこと
古物営業法には、
古物を取り扱う「古物営業」について許可を要する旨が書かれています。
(古物営業法 第2条2項各号など)
古物商の許可は、
「中古品を有償で仕入れて売る人」が
「営業」として行うには、許可が必要
・・という内容です。
「営業」とは、「業として」と言いますが、内容としては、
「繰り返し行うこと」
を指します。
繰り返し行う予定はあるけれど、お店を構えるつもりはない
という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、「営業」は、
「お店を出すかどうか?」や「開業届を出しているか?」は関係なく、
「繰り返し行うかどうか?」で判断されます。
一般的には、
繰り返し行う予定
継続的に行う予定
断続的であっても定期的に行う予定
これらのいずれかに当てはまるときは、
「許可が必要」と考えられます。
あらかじめ許可取得を
なお、
営業行為を行う前に、
事前に許可取得が必要
なので、注意していただければと思います。
事後に許可を取得しようとすると、無許可営業に該当する恐れがあります。
対象は13品目
「古物営業法」では、対象となる品目について定めています。
以下の13品目に当てはまる物を扱うには、「古物商」等の許可
=古物営業法上の許可が必要です。
【13品目】
一 美術品類(書画、彫刻、工芸品等)
二 衣類(和服類、洋服類、その他の衣料品)
三 時計・宝飾品類(時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等)
四 自動車(その部分品を含む。)
五 自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品を含む。)
六 自転車類(その部分品を含む。)
七 写真機類(写真機、光学器等)
八 事務機器類(レジスター、タイプライター、計算機、謄写機、ワードプロセッサー、ファクシミリ装置、事務用電子計算機等)
九 機械工具類(電機類、工作機械、土木機械、化学機械、工具等)
十 道具類(家具、じゅう器、運動用具、楽器、磁気記録媒体、蓄音機用レコード、磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物等)
十一 皮革・ゴム製品類(カバン、靴等)
十二 書籍
十三 金券類(商品券、乗車券及び郵便切手並びに古物営業法施行令(平成七年政令第三百二十六号)第一条各号に規定する証票その他の物をいう。)
上記に、食品はありません。
食品を中古品として扱う概念がないと思われます。
なお、食品を販売するとなると、
他の許可が必要になる場合もあります。
ナゼ許可が必要?
そもそも、どうして「古物商の許可」が法律で決められているのでしょうか?
理由は、古物営業法の第1条に書かれています。
第1条を簡単にまとめますと、
盗まれた物が、簡単に転売されないようにする
これが大きな目的です。
盗まれた物が、簡単に売られて、また売られて・・となると、
盗んだ者勝ち、売った者勝ちになってしまい、
社会的に不安定になってしまいます。
盗んだ者を許さない、
盗んだ物を簡単に売ることができない
という体制ならば、
窃盗を抑止する効果も期待できます。
古物商の営業を許可制にすることによって、
中古品を売買する人に行政が早く連絡できるようにしたり、
中古品を売買する人を適切な営業ができる人にしたりして、
盗品の流通を許さない体制にしていると考えられます。
古物商には、取引の記録をする・相手方の本人確認を行うなど、義務があります。
許可取得がゴールではないので、その後の運営をしっかり行う必要があると思います。
古物商が義務を果たすことによって、盗品の流通を防ぐことにつながっています。
個人的には、
これを知っておくと、古物営業のしくみが「よくわかる」と思います。
どこに申請?
申請書類の提出先は、
営業所の管轄の「警察署」
です。
平日に、警察の窓口に行って、申請書類一式を提出します。
電子申請ができません。
郵送申請でもありません。
申請書は、「申請書」というタイトルの書面だけでなく、
添付書類が必要です。
警察の窓口では、
申請書類一式を、担当者が確認します。
申請の予約をすることが望ましいです。
(警察に相談すると「予約してください」と言われます)
申請書を提出した後、審査が行われます。
新規許可申請を行った際、
申請から許可までの期間は、
神奈川県の場合、
概ね40日とされています。
東京都も40日が目安とされています。
手数料はいくら?
古物商許可の申請手数料は、神奈川県では、
新規許可申請 19,000円
です。
お金がかかりますので、
不許可にならないよう、しっかりと申請したいところです。
~参考~
古物商の許可を取得した後、
許可証の内容を変更する場合(氏名や住所等が変わった場合)や
許可証を失くした場合には、申請が必要です。
神奈川県では以下のとおりの手数料がかかります。
許可証の書換え申請 1,500円
許可証の再交付申請 1,300円
行政書士に申請代行の依頼も可能
本記事では、古物商の許可について簡単にお伝えしました。
許可を取得しますと、
その後、事業を大きく育てることにもつながります。
例えば、身近な「メルカリやヤフオクでの仕入れ」だけでなく、
不用品の買い取りによって中古品を仕入れて、ネット上で販売するという事業も、
選択肢の一つに入ってくるかと思います。
ただ、古物商の許可を得たくても、
・申請のため、平日に警察の窓口に行く
・問い合わせも「平日に警察に電話をしなければならない」
となると
少し面倒に感じるかもしれません。
しかしながら、面倒であっても、
申請しなければ古物営業の開始につながりません。
申請してから審査があり、40日程度かかってしまいます。
早めに始めたい方でお忙しい方は、申請の代行もご検討ください。
古物商許可の申請は、行政書士が申請の代行可能です。